いまどきのサッカー事情

近年、欧州のサッカーシーンにおいて一番高い注目集めている青年監督の一人と言えるのが、2017-2018のUCLにてリヴァプールFCを見事に決勝まで導いたドイツ人のユルゲン・クロップ監督です。彼は現在時代に岡崎慎司選手や武藤嘉紀選手が活躍してきたクラブとして知られるドイツのクラブ・マインツにて主に選手生活をおくってきた歴史をもちます。

引退後はそのままマインツの監督に就任して2001年から2008年まで7年間監督を務めたのち2008年夏からドルトムントの監督に就任しましたが、彼が監督として成功していく上で大きなキーパーソンとなった選手がいます。それが2010年夏にセレッソ大阪からドルトムントに移籍した日本代表MFの香川真司で、2010年当時はまだ世界的クラブで日本の選手が活躍することが珍しかった中、香川選手はクロップ監督の指導の下でブンデスリーガで大ブレイクを果たします。そして、記者会見をはじめとして様々な場所でクロップ監督は香川選手のプレーの質の高さを絶賛し、その模様が逐一日本にも映像として届けられたことでクロップ監督の名前と顔の日本での認知度は一気に高まったところがあります。

その後、2015年にドルトムントの監督を退任してイングランド・プレミアリーグのリヴァプールFCの監督に就任しましたが、日本のエース・香川選手とゆかりの深い有名なクロップ監督がリヴァプールFCの監督として成功できるかは日本でも高い注目を集めてきたことで知られます。

そんな中、クロップ監督は3年目となる2017-2018年シーズンにリーグ戦では首位と大きな差を付けられてしまったものの、UCLでは順調に1次リーグ・決勝トーナメントを勝ち進んでいきます。そして、準決勝ではイタリアをローマを下してクラブを11年ぶりにUCL決勝へと導き、この快挙は日本でも大きく報道されました。惜しくも決勝ではレアル・マドリッドに負けてしまったものの、クロップ監督びいきの多くの日本人がレアルではなくリヴァプールFCを応援したほど日本では高い人気と知名度を誇ります。

Jリーグにおいては、これまでの歴史でトニーニョ・セレーゾ氏やミハイロ・ペトロヴィッチ氏が同一クラブを5年以上率いたことがあるものの、同一クラブ10年以上率いた監督は存在しません。しかし、イングランド・プレミアリーグのビッグクラブにおいては、その類まれなる指導能力で選手・フロント・サポーターを魅了し、20年以上の長期政権を築いた監督が近代において2人存在します。

まず一人目が1986年秋から2013年春まで27年に渡ってマンチェスター・ユナイテッドの監督に君臨してきたアレックス・ファーガソン氏です。彼は世界のサッカー界の中で一時代を築いたのち低迷が続いていたクラブを数年の間に見事に蘇らせて1990年代前半からマンチェスター・ユナイテッドに数々のタイトルをもたらしてきました。彼のすごいところは在任中ムラなくコンスタントに好成績を収めてきたことで、在任中のプレミアリーグ優勝回数は13回と、約2シーズンに一度の割合でクラブをリーグ優勝に導いています。さらにUEFAチャンピオンズリーグも2回獲得しており、欧州サッカーの歴史上で最も偉大な監督だと称賛する人がたくさんいます。

また、指導者として欧州に復帰する前に日本の名古屋グランパスで指揮をとっていたため日本での知名度が抜群に高いアーセン・ベンゲル氏もプレミアリーグで長期政権を築いた監督の一人です。名古屋を1996年夏に去った彼は、イングランドの強豪・アーセナルの監督に就任し、マンチェスター・ユナイテッドと比べるとやや小さめのこのクラブを2年目にリーグ優勝に導きました。さらにアンリやユングベリなどのスーパースター達を擁した2000年代前半は、他のクラブを上回る無敵の強さで2度のリーグ優勝に導き、アーセナルというクラブの存在を世界中に知らしめました。その後は、クラブの財政問題などでなかなか補強ができず毎年良い成績を収めつつリーグ優勝はできないまま2018年春に退任してしましたが、フロント・サポーター達からは強く敬愛されています。